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土井たか子さん逝去

元日本社会党・社民党の党首であり衆議院議長でもあった土井たか子さんが20日にお亡くなりになっていたそうです。

既に第一線からは退いておられたとはいえ、憲法を破壊しようとする安倍晋三のような輩の暴走を止めるためにも、土井さんのような方にはまだまだお元気でいて欲しかった。

ご冥福をお祈りします。

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テーマ : 日本を正常な国に戻したい - ジャンル : 政治・経済

風下に退避という不思議 ー 共同通信「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」の虚構3


(2)本当に風向きを確認したの?

共同通信が配信した「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」に記された「事実」を炙り出すシリーズ、その3です。

3月15日の朝、9割の所員が第二原発へ逃げた際のことを、同記事では以下のように描写しています。

--
 所長の吉田昌郎(56)は対策本部中央の円卓を回り込むと、放射線管理を担う保安委員に風向きを確認した。敷地西側の正門前で線量を計測しているモニターカーからの情報では、風は北西から吹いていた。

 吉田は退避先の福島第2原発(南12㌔)が安全か確認したかったのだ。自席に戻ると、総務班長を呼んでこう言った。

 「線量の低い場所を探して退避だ。なければ2F(第2原発)に向かえ。風向きは大丈夫だ」

 「とりあえず正門の先でどうですか」

 「それでいい」
--

この記事を読めば、普通の人なら直ぐに違和感を感じると思うんですけどね。
なんで風上に逃げないのと。

この記事では風は「北西」となっています。
でも、実際に記録に残っているのは、6:00が北の風0.8m/s、6:50では北東の風2.9m/sで、この日の1:00以降、北西の風というのは一度も記録されていません。
まあ、さすがに全くの嘘を書く訳にもいかなかったのでしょう、だいたい北方向から風が吹いていることはこの記事からでもわかります。

で、風が北から吹いているのに南のある第二原発に向かうことが、なんで「風向きは大丈夫だ」なんでしょうか?

私には、この吉田氏の判断は全く理解できません

風向きを見たなら、北方向へ逃げろと指示すべきでしょう。
しかも、風が北から吹いているのですから、南西側にある正門付近では線量が高いのは十分予想されること。

「線量の低い場所を探して退避だ。」と指示し、かつ風向きを見たなら、それに対して「とりあえず正門の先でどうですか」と聞かれて、「それじゃダメだ、北へ行け」と言わなきゃ指揮官として失格でしょう。

この部分においても、吉田氏は正直に答えていない

おそらく、吉田氏はこのような指示は全くやっておらず、逃げた人々が、風向きも関係なく、前日からの打ち合わせに則って、第二原発に向かったのです。

続きます。

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映像では誰も聞いていないみたい ー 共同通信「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」の虚構2

共同通信が配信した「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」には、前エントリで書いたように、当事者の自己陶酔、自己弁護を鵜呑みにして、客観的な事実を蔑ろにし、結果的に原子力ムラの思惑通りに東電を擁護する流れを作る上で大きな役割を果たしました。

ただ、実際に起きたことを書いた部分を良く読むと、隠しきれなかった事実が浮き彫りとなり、「証言」を読む上では注意が必要なことがわかります。
その具体的なポイントを、これからいくつか指摘します。

(1)福島第一の所員は菅首相の演説を聴いていたのか?

これは、既にこのブログでも問題提起をしたところで、それに対して、私を何とか噓吐きにしたい人が粘着していますけど、いまだに彼らはテレビ会議システムというものが理解できていないようです。

共同通信の記事にはこうあります。

--
菅の激しい言葉に免震重要棟の社員たちは足を止め、テレビ会議の画面に見入っていた。
--
「何言ってんだ、こいつ!」「なんだよこれ。ひでえな」。3月15日早朝、福島第1原発免震重要棟の緊急時対策本部にいた全員が、テレビ会議のモニター画面にくぎ付けになった。東京電力本店を訪れた首相の菅直人(64)が「逃げてみたって逃げ切れないぞ」と大声で怒鳴っていた。
 対策本部内の数百人が無言で画面を見つめていた。「こっちでは一生懸命闘っているのに、後ろから機関銃で撃たれた気分でした」。第1復旧班長の稲垣武之(47)はそう振り返る。

--

ところが、この菅首相が東電本店で撤退を阻止している時の映像というのが東京電力から公開されていますが、YouTubeにもアップされています。

https://www.youtube.com/watch?v=7jc18tlOnP0

この映像では、画面が6分割されており、真ん中上段に東電本店が映っています。
ところが、それ以外のサイトでは、菅さんがしゃべっているであろう15分ほどの間、普通に人々が歩き回り、席を立ったり座ったり、また会話をしているような仕草が映し出されており、とても「免震重要棟の社員たちは足を止め、テレビ会議の画面に見入っていた」とか「全員が、テレビ会議のモニター画面にくぎ付けになった」といった様子がうかがえません。

前にこのネタに触れたエントリに粘着して来た人々は、「常時接続」という言葉で常時音声もつながっていると思い込んでいるようですが、そんなテレビ会議システムなんてどこにも存在しないはず。たとえ映像は見られても、音声は意図して繋がない限り聞こえないのがデフォルト、それがテレビ会議システムです。

で、実際にこの時は、音声はつながっていなかった。
共同通信の取材に対してあたかもリアルタイムで菅さんの話を聞いたかのように答えていた人々は、皆、後からその話を聞いて、当事者であった自分たちがそれを聞いていないはずがないとでも思ったのでしょう。自分の記憶を書き換えてしまったとみて間違いありません。

ちなみに、音声が繋がっていなかったであろうと思われる記述は、この共同通信の記事からも読み取れます。例えば、

--
 「1F(第1原発)、聞こえますか?」
 本店からの呼び掛けに、所長の吉田昌郎(56)が手を挙げて応えた直後…。
--

常時聞こえていたなら、こんな呼びかけは不要。そして、

--
吉田は即決した。テレビ会議のマイクのスイッチを入れ、本店に退避を申し出た。
--

マイクのスイッチを切っているのが常態だったということです。

ということで、第一原発の所員はリアルタイムで菅さんの話を聞いていたわけではないと考えるのが妥当。共同通信の記事は不必要に菅さんを貶め、東電を英雄扱いする原子力ムラの思惑に沿った印象を与えるものとなっています。

続きます。

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共同通信「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」の虚構1


吉田調書報道について、朝日を訂正に追い込んだ原子力ムラですが、この、明らかに無理筋の東電擁護のプロパガンダを、広報紙である産経や読売が書いても、色眼鏡で見る人が多かったことと思います。

そういう意味で、この一連の流れの中で、大きな役割を果たしたのは、7月に共同通信が配信した「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発  最終章 「命」」だと思います。

門田隆将なども、自身のブログの中で、

--
私は、この2011年3月15日は、日本が有史以来、最大の存続の危機に陥った日だったと思っている。共同通信は、長期にわたった取材によって、この日の福島第一原発の内部を克明に記している。多くの場面が、拙著とも重なっているので、私は興味深く読ませてもらった。
--
共同通信のこの詳細な描写に、私は『死の淵を見た男』を取材した当時のことを思い出した。時に涙し、時には震えながら、あの自らの「生」と「死」をかけた闘いの場面を述懐するプラントエンジニアたちの姿を思い出したのだ。

http://www.kadotaryusho.com/blog/2014/07/post_763.html
--

こんな風に書いて、いかにも共同通信の記事に「中立性」があるかのように宣伝しています。
でも、本当にそうでしょうか?

この記事を書くにあたり、共同通信は多くの関係者にインタビューしているようです。
それ自体は大切な取材方法だとは思いますが、対象者の言っていることを鵜呑みにしてしまっては、真実からは遠ざかるばかり。ジャーナリストなら、取材対象者の言っていることと客観情報をきちんと突き合わせる必要があったはずなのに、共同通信にはその意識が欠けていたのではないか疑われる箇所が、特に重要なポイントで散見されます。

門田氏は

--
そして、共同通信の現場への食い込み方は、やはり活字媒体ならでは、の思いが強い。しかし、朝日新聞だけは、現場取材の痕跡がない。「ひょっとして朝日は現場に取材もしないまま、あの記事を書いたのではないか」と、どうしても疑ってしまうのである。
--

こんな風に書いていますが、逆に、共同や門田氏自身が「現場取材」をしたという自己満足だけで、記事を書いてしまったのではないかと、私は疑わざるを得ない。
客観的事実との突き合わせを怠り、大変な環境に身を置いた当事者にありがちな、己陶酔や自己弁護にひきずられて、結果として、フィクションを書いてしまったのが彼らだと考えられます。

その具体的なポイントを、明日以降のエントリに記します。

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所詮は商業紙 ー 朝日新聞の吉田調書訂正報道

朝日新聞が5月に報じた吉田調書関連の記事を訂正し、また、編集局長、報道局長を解任しました。

事実として記録されている事象とは、朝日新聞の記事が最も整合性がとれていたのは間違いありません。
でも、結局は朝日も商業紙だったといことでしょう。
営業側からの圧力に編集側が屈したんでしょうね。

産経、読売ばかりでなく、共同や毎日まで当事者の自己正当化を真に受けて、記録された事実との矛盾には一切目を向けずに、数の力で朝日バッシング。

まさに、悪貨は良貨を駆逐する、でした。

日本の報道が死んだ日と、後世に記録されることになる可能性大と言えるでしょう。

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これも検証したら? ー 性奴隷否定派の「吉田証言」


先日東京新聞が、日本の在外公館が在留邦人に対して、歴史問題で暴言などの被害に遭ったらご一報、などと呼びかけていることを報じていました。

--
「慰安婦」で嫌がらせ? 右派勢力が懸念あおる
2014年8月29日

 「歴史問題で暴言などの被害に遭われた方、ご連絡ください」。こんな呼び掛けが、ワシントンの日本大使館や一部在米総領事館のホームページ(HP)に掲載されている。外務省の念頭にあるのは、日本軍慰安婦問題だ。米国各地では、韓国系団体の働き掛けで、慰安婦の碑や像が次々と設置されている。日本の右派勢力は「韓国ロビーのせいで在米日本人へ暴力や暴言が増えている」といったストーリーを流布させているが、外務省では今のところ被害を把握していない。 (林啓太、三沢典丈)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014082902000164.html
(リードのみ)
--

外務省で被害を把握していないのに、こんな呼びかけをする事自体、ヘイトに加担するようなもので、日本政府のセンスの無さには呆れてしまいます。

それはそれとして、この在外邦人が暴言を浴びせられているとかイジメられているとかいう話。私も、ある駅頭で自称保守系の議員がそんなことを喚いているのを聞いた事がありますが、果たして本当にあったことでしょうか。

こういう言説がメディア上で広められている証拠として、確認できるものとしては以下のような記事があります。

--
米在住日本人子供“無実の韓国人女性強姦した子孫”と白眼視
2012.02.17 07:00

 ソウルの日本大使館前に反日団体によって「従軍慰安婦の碑」が建立されるという暴挙に、韓国人の苛烈さを見て取った日本人も多いだろう。だが、ソウルだけではなかった。彼らは韓国内だけでなく、アメリカでも同様の碑を建てていた。日本人を貶める反日運動は、より戦略的に全世界で展開されようとしているのだ。ジャーナリストの水間政憲氏が報告する。

 * * *
 米国ニュージャージー州パラセイズ・パーク市の図書館に「日本軍従軍慰安婦の碑」が建立されたのは2010年10月23日。同碑除幕式の模様は、中央日報日本語版(2010年10月25日付)が伝えている。

〈西欧国家で日本軍慰安婦追悼の碑が地方政府承認の下で建てられたのは今回が初めてだ。(中略)この日の除幕式にはロタンド市長を含め、市議会および図書館関係者と同胞ら100人が出席した〉

 その大理石の碑には、「1930年代から45年まで日本帝国主義の軍隊に踏みにじられた20万人の女性と少女を称える」とか「慰安婦とされた人々は想像することも出来ない残酷な人権侵害にあった」と解説され、最後に「私たちは人類に対するこの残虐な犯罪を決して忘れてはいけない」と、慰安婦の姿と共に刻まれている。

 この問題は、米国市民を捏造歴史認識で洗脳する道具の役割を果たすだけでなく、米国に居住している邦人の名誉を著しく傷つけることになるのである。

 そもそも「従軍慰安婦問題」は『朝日ジャーナル』に88年5月から12月まで隔週で15回に亘って掲載された「日本国は朝鮮と朝鮮人に公式陳謝せよ」との意見広告からスタートし、同誌の記事になり、それが朝日新聞の社会面へと波及していった。だが、慰安婦の「強要・強制」を示す記録は一切無いのだ。

 しかし、パラセイズ・パーク図書館の碑を見た米国人は、間違いなく慰安婦が「強制」であったと誰もが思うだろう。すでに在米邦人の子供たちが、これら捏造歴史認識で「イジメ」にあっているとの情報が入ってきている。“無実の韓国人女性をレイプした日本人の子孫”として白眼視され始めているというのだ。

※SAPIO2012年2月22日号

http://www.news-postseven.com/archives/20120217_87410.html
--

さてさて、このような「イジメ」「白眼視」と言った事実は本当にあるのでしょうか。
私は、自分の経験に照らしても、九分九厘なかったと思っていますけどね。

自称保守連中がこうやって在外邦人がいじめられたという話に拘るなら、それこそ、そのような事実があったか検証すべきではないでしょうか。

朝日新聞の吉田証言とは違い、こちらはごく最近のことなのですから、その暴言を浴びせたりいじめたりした人々が必ず見つかるはずです。だいたいこちらが日本人とわかっていなければできないことなのですから、その加害者と被害者は顔見知りであるケースがほとんどのはずです。だから、被害者からたどれば、かなりの確率で加害者が何故そのようなことをしたのかまで調査できます。

そして、その際に加害者にはなぜ暴言を吐いたを是非確かめていただきたいですね。

“無実の韓国人女性をレイプした日本人の子孫”だから?
それとも、“昔の日本人が韓国人女性をレイプしたことを、正当化しようとする今の日本人の仲間”だから?

おそらく原因は後者と見て間違いないと思います。
これなど、吉田証言における強制連行と挺身隊の混同のようなものでしょうか。

実際には、アメリカで慰安婦問題がクローズアップされたのは、吉田証言が報じられた時でも河野談話が発表された時でもない。
安倍政権が強制性を否定しようとした時であり、自称保守派の恥ずべき意見広告が出された時です。

自分たちがイジメの種をせっせと蒔いているのに、それを棚に上げて「韓国ロビーがー」などと騒ぎ立てるのは、恥ずべき行為と言ってかまわないと私は思いますけどね。

言ってみれば、この在外邦人の被害というのは吉田証言の済州島強制連行みたいなもの(事象の有無の重みとしては、最近の自称保守連中はこれを枕に自分たちの行動を正当化していますから、前者の方がはるかに大きい)。

でも、その実例が確認できなくても、自称保守連中が過ちを改めるなんてことは、まず起きないでしょうね。

なぜ、これだけ画像データ? ー 福島第一原発からの退避問題


一連の吉田調書報道に関して、産経などは、吉田氏や元所員の自己正当化した言葉を意図的にか無意識にか鵜呑みにして、第二原発への退避は命令違反ではないと言い張っています。

ところが、東電のプレスリリースのリスト(http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/2010-j.html)中に、

『03.15 福島第一原子力発電所の職員の移動について』

という文書があり、これを開くとこのように書かれているのです。

--
福島第一原子力発電所の職員の移動について
平成23年3月15日
東京電力株式会社
福島第一原子力発電所

 本日、午前6時14分頃、福島第一原子力発電所2号機の圧力抑制室付近で異音が発生するとともに、同室内の圧力が低下したことから、同室で何らかの以上が発生した可能性があると判断しました。今後とも、原子炉圧力容器への注水作業を全力で継続してまいりますが、同作業に直接関わりのない協力企業作業員および当社職員を一時的に同発電所の安全な場所などへ移動開始しました。
 現在、福島第一原子力発電所では、残りの人員において、安全の確保に向け、全力を尽くしております。

 なお、2号機の原子炉圧力容器および原子炉格納容器のパラメータに有意な変化はみられておりません。

 立地地域の皆さまをはじめ、広く社会の皆さまには大変なご心配とご迷惑をおかけしておりますことに対し、心よりお詫び申し上げます。


http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/htmldata/j110315a-j.pdf
--

ポイントは「一時的に同発電所の安全な場所などへ移動開始しました。」と書かれていること。どう考えたって、9割の所員が第二原発へ行ってしまったこととは整合性がとれない。やはり、第二原発への退避は東電の意としたものではなかった、即ち「命令違反」と呼ばざるを得ないということです。

で、このプレスリリースそのものに関して、もう一つ興味深いことがあります。
上記のプレスリリースのリストから、それぞれの項目をクリックすると、内容が書かれたpdfファイルが開くようになっているのですが、そのほとんどのファイルがテキストファイルをpdf化しているのに、なぜかこのファイルは画像ファイルをpdf化しているのです。

j110315a-j.jpg


この3月の震災後に行われたプレスリリースは約110。その内、画像ファイルなのは、私が見たところでは4本だけでした。そのうちの2本は、「当時公表したものの、ホームページへ掲載していなかったことがわかったため、本日(H24.7.18)掲載しました。」という注書きが書かれているもので、最初から画像だったのは、このネタ元と

『03.14 原子力災害対策特別措置法第15条第1項の規定に基づく特定事象(原子炉冷却機能喪失)の発生について(PDF27.2KB)』

だけでした。

「原子炉冷却機能喪失」「職員の移動」という、極めて重要なポイントとなる事象の発表だけが画像というのは不自然。

画像だと、今回のようにこれを広く紹介しようと思ったら、自分で打たなければなりませんから、やはり、この事実をできるだけ隠したい、自分たちがどのように認識していたか後から検証されたくない、という意図があってのものと思えるのですが。

逆に考えれば、この「職員の移動」「原子炉冷却機能喪失」と同程度の意味を持つ、即ち、東電によるギブアップ宣言だったと、私は考えています。

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理由になっていません ー 吉田調書報道


朝日が先鞭をつけた福島第一原発所長だった吉田氏の調書。
安倍政権、原子力ムラの広報機関である産経が、ムリ筋のつまみ食いをしてプロパガンダを流し始めましたが、まだ公開までには至っていないものの読売、毎日も報道を始めました。

どちらも東電の自己正当化を鵜呑みにしたトーンとなってしまっているようですが、そのうちの毎日の報道の中に、少しだけどうして第一原発に戻ったかが記載されています。

--
吉田調書:元東電社員「戦う所長が支え」
毎日新聞 2014年08月31日 07時00分(最終更新 08月31日 08時19分)

 東京電力福島第1原発事故の発生直後、収束作業に当たった元東電社員の男性は、現場の最高責任者が何を考え、どう行動したかを記録した調書の内容が明らかになったことを「ずっと知りたかった」と歓迎する。男性は当時、本店の幹部らを相手に一歩も引かない吉田昌郎元所長の姿を自らの支えにしていたという。それだけに「9割の所員が命令に違反して撤退した」との一部報道には「命がけで戦った仲間全員への侮辱で、悔しい」と話す。【袴田貴行】

 男性は20代後半。2011年3月12日に最初の水素爆発が起きた時は、炉心への冷却水注入が続く1号機に車で向かっていた。激しい爆発音とともに車が上下に揺れ、一瞬気を失った。我に返って前を見ると、原子炉建屋が吹っ飛んでいた。わずか100メートルの距離だった。不眠不休で作業を続けたが、14日午前に3号機が爆発、夜には2号機の危機的状況が伝わった。普段は冷静な上司が誰に聞かせるともなく「もう駄目なんだからな」としきりにつぶやいた。

 日付が15日に変わる頃、免震重要棟の1階出入り口付近には数百人の所員が待機していた。明け方、吉田所長らが指揮を執る2階の緊急時対策室から人が下りてきて、退避命令を伝えた。免震重要棟の重い二重扉が開き、所員らはバスや自家用車で第2原発へ向かった。だが、2時間ほど仮眠を取った後、上司に起こされ第1原発に戻ってくれと言われた。4号機で火災が発生し、人員が必要だという。同僚が戻ると言うので一緒に従わざるをえなかった。

 「生きて帰りたい」と願う一方、「吉田所長が頑張っている間は自分も折れるわけにはいかない」とも思った。緊急時対策室でのテレビ会議で、本店の幹部に食ってかかる姿を何度も見かけた。半面、たまに資料を渡しに行くと、若い所員にも気さくに話しかけてくれるのがうれしかった。

 しかし今年5月、朝日新聞に「吉田所長の命令に違反して撤退した」と書かれた。男性は「当時、退避先が第2原発というのは全員の共通認識だった」と反論。第1原発の構内で退避先を探しても「全面マスクをした状態で何時間もいたら全員死んでいた」と話す。

http://mainichi.jp/select/news/20140831k0000m040123000c.html
--

まず、この元所員などが「命がけで戦った仲間全員への侮辱で、悔しい」などと言っていることを報ずる意味って、どれほどあるんでしょうね。
彼らが、「自分たちは命令を聞かずに退避しました」なんて、真相がそうであったって言うわけないじゃありませんか。人間が自分の行動を正当化するのは当たり前のことなのですから、それをもって、朝日の報道が誤りであったと報ずる方が、報道機関として問題ありです。

で、この記事の中で一番大事だと思うのは、この部分。

--
だが、2時間ほど仮眠を取った後、上司に起こされ第1原発に戻ってくれと言われた。4号機で火災が発生し、人員が必要だという。同僚が戻ると言うので一緒に従わざるをえなかった。
--

さてさて、放射線量が急上昇して危ない、だから退避だと言って第二原発に行ったのに、「火災が発生し、人員が必要だ」で戻るんですか?
退避した理由が解消されていないのに戻るなんて、どう考えても変じゃありませんか。

言って見れば、大雨で土石流が発生しそうだからと役所からの避難指示を受けて避難所に退避したのに、役所から税金の支払いは明日までと言われていたからと、忘れていた財布を家に取りにもどるようなもの。
そういう行動は、普通はやるべきではないと批判されるものですけどね。

もし、東電の社員がこんな指示だけで第一原発に本当に戻っていたなら、東電の社員というのは、物事の因果関係が理解できず、何かが起きた時に何をしなければいけないかがわかっていない人ばかりだ、ということになってしまいます。
それじゃあ事故も起こるというもの。東電に原発なんて危ないものを扱わせるのは間違いということで確定でしょう。

でも、実際には戻った理由が違うでしょうね。
火災が発生して人員が必要だということも言われたかもしれませんが、それだけじゃない。「第二原発への退避は所長の指示ではなかった、我々は本来第一原発に残らなければならなかった」という趣旨のことが伝えられたはずです。

第二原発へ退避した所員は、「会社の指示もなく逃げた」と後から言われることを恐れて戻ったのです。
おそらく、所員にとって第二原発への退避が所長の指示ではなかったというのは寝耳に水の話だったのでしょう。でも、ほとんどの所員は吉田所長から直に退避命令を聞ける状況になかった。
だから「勘違い」と言われて仕方なく戻ったのでしょう。その意図はなくとも勝手に持ち場を離れたのですから。

こういう状況だったとすると、元所員達が「命令違反」と言われるのは心外だと言いたい気持ちはわかります。
でも、3月15日の午前中、いるべきところに所員がいなかったのは事実。そして、彼らは「結果的に命令違反」と言われても仕方ないと内心思っているのでしょう。そういう負い目があるから、あの時、唯々諾々と第一原発に戻ったし、今、命令違反と図星を指されてよけいに虚勢を張っているのです。

だからこそ、この部分の証言がこのように曖昧か、頬被りかということになっている。
まあ、この事実で、何があったかを推し量るには十分だと私は思いますね。

それにしても、9割の所員が撤退したのが命令違反ではなかったなら、東電の「全面撤退否定」は嘘だったということになるんですけど、産経・読売ばかりでなく、それを指摘するマスコミが皆無っていうのには、ホント、呆れてしまいます。

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