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どうみても嘘もしくは隠蔽(2) ー 産経の吉田調書報道


前エントリの続きです。

(4)これまた語るに落ちる

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当時、現場にいた複数の元所員も産経新聞の取材に「命令違反」を否定した。40代の元所員は「第1原発では乾パンや水しかなく環境は日に日に悪化しており、第1のどこかに待機するというのはありえない」と語る。吉田氏の命令は第2への退避と受け止めたという。別の中堅元所員も「第1原発にいた所員は、退避するなら第2へという共通認識があった。それが吉田氏の命令違反であるはずがない」と証言した。
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「あり得ない」「あるはずがない」、全部推測ですね。
しかも、内容が客観情報と矛盾しています。

少なくとも、吉田氏は第二原発へ退避という命令は下していないと明言しています。それを「第2への退避と受け止めた」なら、結果的に命令違反と言われても致し方なし。確認を怠ったツケというやつです。

また、「環境は日に日に悪化しており、第1のどこかに待機するというのはありえない」なんて言ってますけど、これも後付けで創作した理由であることは明白。だって、第二にいっちゃった人たちはたった半日で戻って来た、即ち、実際にはこの「ありえない」と同じことを東電は選択していたのですから、この人の言っていることはデタラメで確定です。

そして、二人目の自称元所員が言っている内容が本当なら、『誰が逃げるものか』とか『「例えば、(東電)本店から、全員逃げろとか、そういう話は」との質問に「全くない」と明確に否定した。』なんて話も全くの。だって退避するなら第二原発へというのが所員の『共通』認識だったというのですから。
第二原発へ逃げることを誰も考えず誰も口にしていなかったのなら、そんなものが「共通」認識になどなりようがありません。

そして、もし吉田氏がそういう指示をしていたなら、「直接、発電所の運転に関わらない半数の作業員は退去を考えた」という東電本社の意向を、吉田氏は無視したということで確定するということです。

(5)69人で何ができたの?

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 当時、第1原発にとどまったのは吉田氏ら69人。
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まあ、この69人がどんな思いだったのか、おそらくは死を覚悟していたのではないかと思うと、批判的なことは言いづらいものがあります。
しかし、それを隠れ蓑にして、東電や自民党、そして原子力ムラの行動を正当化しようとするのが産経のやり口である以上、指摘すべき事は指摘しておかなくてはなりません。

福島第一原発では常時数千人の人々が働いていました。
普通、トラブルに対処しようと思えば、通常時よりも多くの人手が必要というのは常識ですが、さて、常態よりも二桁少ない人数で、東電は何をするつもりだったのでしょうか?

答えは、何もする気はなかった。

モニタリングだけは続けながら、ただ運を天に任せ、大爆発のようなことが起こらないことを祈りながら、人を呼び戻せる状況になるまで自然に沈静化してくれるのを待っていただけです。
現実に、この3月15日の午前中は能動的に何をしたという報告は無く、例えば4号機では火災が発生したのに、まあ、69人しかいないのですから、当然の話なのですが、それが自然鎮火するまで何もしていません。

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9:38 4号機の原子炉建屋3階北西コーナー付近より火災が発生していることを確認,9:56 官庁等に連絡。
11:00頃 4号機の原子炉建屋の火災について,当社社員が現場確認をしたところ,自然に火が消えていることを確認,11:45 官庁等に連絡。


http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110618l.pdf
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つまり、火災が起きてもギブアップするしかない人数しか第一原発には残していなかったのです。

では、この69人は何のために残ったのでしょうか?

それは「人柱」のためでしょう。

東電としては、もう全面撤退をするしかないと思っていたけど、菅さんに反対され、かつ「東電が潰れても仕方ない。従業員を退避させ、後は運を天に任せる。」開き直る気概も無かったので、「全面撤退はしていません」とのアリバイを作るために残す人が必要だった、それがこの69人だったということです。

ちなみに、朝日の吉田調書報道に噛み付いている門田隆将という人物がいます。
この人、朝日憎しのあまりか、東電からいくらもらったか知りませんけど、この時の東電の対応を美談仕立てにした文章をいくつも書いているようです。
で、最新のオフィシャルブログにはこんなことを書いている。

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この場面は、私が吉田所長以下、90名近い現場の人たちに取材して書いた拙著『死の淵を見た男』のヤマ場でもある。私は、この事態になる直前、「一緒に死んでくれる人間の顔を思い浮かべていた」と、1Fに残ってもらう人間を“選別”する吉田所長の思いと姿を、当の吉田さん自身から詳細に聞いている。

http://www.kadotaryusho.com/blog/2014/08/post_766.html
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これが語るに落ちるになっていることに気がついていないらしいのが滑稽ですね。

吉田所長は「事態を収束させるのに必要な最小限の人間」を選別したのではなく「一緒に死んでくれる人間」を選別した。つまり、ギブアップする前提で人柱を選んだのであり、そんな人間を現場に残したところで、事態の収束を望んでいた圧倒的多数の国民からみれば、それは東電が第一原発から「全面撤退」したことに他ならない、ということ。

美談仕立てに熱心になるあまり、東電会長がどんな嘘を吐いていたかも忘れて、東電が全面撤退しようとし、火災が起きても自然鎮火に任せるしかない状態、即ち「人柱」だけ残した実質的な全面撤退をやっていたことを、この人は自らの取材の結果として吹聴しているのです。

まあ、「90名近い現場の人たちに取材して書いた」って、その人たちが自分の行動を正当化するために正直には答えないなんて容易に想像できること。この人、慰安婦問題でも朝日を貶めていますけど、慰安婦の証言を信用しないクセに、福島第一原発の「現場の人たち」の言うことは、客観的事実と齟齬があっても無批判に信じているらしいあたり、信用ならない人物と言って差しつかえなさそうです。

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次エントリで、この報道への最大の疑問について書いて、一連のエントリを締める予定です。
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