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どうみても嘘もしくは隠蔽(3終) ー 産経の吉田調書報道

(6)何で折角退避した人々を戻したの?

産経の吉田調書報道の中で説明のつかない最大のものは、所員の第二原発への退避が命令違反ではなく、会社・吉田所長の意に添ったものであったとしたら、何でたった数時間で戻したのってことです。

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15日昼ごろには第2に退避していた多数の人が戻った。

 吉田氏と一緒に現場にとどまったベテランの元所員は「(第1に)残りたいという人ばかりだった。第2までの道は崖崩れの危険があったから、退避した人から『第2に無事に到着した』という連絡があったときには、第1に残った人は『ああよかった』とお互いに喜び合った」と語る。

 別の東電関係者も「当時自家用車で第2へ退避した人も多く、逃げるのであればそのまま避難所にいる家族のもとに行っているはずだ。しかし、彼らは第1へ戻ってきた」と話した。
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上記のように、記事では「第2に退避していた多数の人が戻った」なんて、まるで自発的に戻ったかのような書き方をしていますけど、そんなことはあり得ませんね。

「第2までの道は崖崩れの危険があった」そうですし、第一原発付近は一番被曝の可能性が高いエリアなのですから、所員が個人の判断で移動できるような状況ではありません。所員が自家用車で第一原発に戻ろうとすれば、必ず止められるはずですし、そんなところに防護服なしで自家用車で戻るなんて行為が許されるはずもありません
また、戻ったのが自発的な行為なら、そもそも「(第1に)残りたいという人ばかりだった。」なら、ほとんどの人が自発的に避難しなかったはずですし、退避した個人が第一原発の状況がどうであるかという情報を個々に得られるはずもないので、自発的に戻るという事象が発生するはずがない。

結論としては、第二原発に退避した人々は、東電の命令で第一原発に戻ったのです。

で、『ああよかった』なら、何で戻したのですかってこと。戻したということは、第二原発への大量退避は東電本社もしくは吉田所長の意とするものとは違っていたということでしょ。

ちなみに、吉田氏は産経の報じている部分において、調書の中で以下のようなことを言っているようです。

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「考えてみればみんな全面マスクをしているわけです。(第1原発で)何時間も退避していたら死んでしまうよねとなって、2Fに行った方がはるかに正しいと思った」と、全面マスクを外して休息できる第2原発への退避が適切だったと認識を示している。
--

これが本意なら、ろくに休息をとらせないまま、多くの所員を呼び戻したというのは、いかがなものなんでしょうね。こういうのを朝令暮改と言うんじゃありませんか?

それも、第一原発の状況が好転しているという情報でもあれば別ですが、実際には、

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6:50 正門付近で 500μSv/h を超える線量(583.7μSv/h)を計測したことから,原災法第 15 条第1項の規定に基づく特定事象(敷地境界放射線量異常上昇)が発生したと判断,7:00 官庁等に通報。
7:00 監視、作業に必要な要員を除き,福島第二へ一時退避することを官庁等に連絡。
8:11 正門付近で 500μSv/h を超える線量(807μSv/h)を計測したことから,原災法第 15 条第1項の規定に基づく特定事象(火災爆発等による放射性物質異常放出)が発生したと判断,8:36 官庁等に通報。
8:25 原子炉建屋5階付近壁より白い煙(湯気らしきもの)があがっていることを確認,9:18 官庁等に連絡。

9:38 4号機の原子炉建屋3階北西コーナー付近より火災が発生していることを確認,9:56 官庁等に連絡。
11:00頃 4号機の原子炉建屋の火災について,当社社員が現場確認をしたところ,自然に火が消えていることを確認,11:45 官庁等に連絡。

16:00 正門で 500μSv/h を超える線量(531.6μSv/h)を計測したことから,原災法第 15 条第1項の規定に基づく特定事象(敷地境界放射線量異常上昇)が発生したと判断,16:22 官庁等に通報。
23:05 正門付近で 500μSv/h を超える線量(4548μSv/h)を計測したことから,原災法第 15 条第1項の規定に基づく特定事象(敷地境界放射線量異常上昇)が発生したと判断,23:20 官庁等に通報。


http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110618l.pdf
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とても退避時よりも状況が良くなったから呼び戻した、なんて言える状況ではありません。
帰って来たって全面マスクを装着しなければならず、「第1原発では乾パンや水しかなく環境は日に日に悪化」しているのを承知で、おそらくほとんどトンボ返りに近い状態で、多数の所員を呼び戻したのですから、吉田氏が自分の判断で命じたなら、「あなたのやっていることは支離滅裂」と言わざるを得ません。

ちなみに、前エントリで紹介した門田隆将という人物は、共同通信の記事の紹介という形ですけど、この退避のくだりを美談仕立てにするために、自身のブログにこんな風に書いています。

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拙著と同じく、記事はすべて実名証言に基づいている。私は、生前の吉田氏から、この時のことを直接、聞いているので、共同通信が「3・15」をどう書くのか、連載の途中から注目していた。そして、それは予想以上の克明さだった。
〈全員が凍り付いた。圧力容器からの蒸気を冷やす圧力抑制室の気密性がなくなり、高濃度の放射性物質を含んだ蒸気が環境に大量放出される。もう第1原発構内どころか、周辺地域にすら安全な場所はなくなる。最も恐れていた事態だった。
 稲垣が吉田に進言した。
「サプチャンに大穴が開いたと思います。とんでもない量の放射性物質が出てきますよ」
「退避させるぞ」
 吉田は即決した。テレビ会議のマイクのスイッチを入れ、本店に退避を申し出た。必要のない大勢の社員たちをいつ退避させるか吉田はずっとタイミングを計ってきたのだ。今がその時だった。
 ところが約220キロ離れた東京の本店の反応は鈍かった。制御室にある圧力計が故障したのではないかと言う。吉田がキレた。
「そんなこと言ったって、線量が上がってきて、こんな状態で全員いたら、おかしいだろっ!」〉
共同通信のこの詳細な描写に、私は『死の淵を見た男』を取材した当時のことを思い出した。時に涙し、時には震えながら、あの自らの「生」と「死」をかけた闘いの場面を述懐するプラントエンジニアたちの姿を思い出したのだ。
記事は、南に約12キロの位置にある退避先の福島第二原発(2F)の安全を確かめるため、風向きをまず見させてから職員を退避させる吉田所長の姿が描かれている。そして、総務班長はこう指示する。
〈「皆さん、速やかに退避してください。最終目的地は2Fです。免震重要棟近くの路上にバスがあります。とにかく乗れるだけ乗ってください。まず正門の先で線量を測ります。とどまれなければ2Fに行きます」。総務班長はこの後、第2原発に「そちらに行くことになります」と電話を入れた〉
「2Fへの退避ですよ」と仮眠中に叩き起こされ、2Fへ向かった者や、逆に2Fへの退避を命じられても「残ります」と言い張って、命令をきかなかった者、あるいは、2Fへの退避を決めたエンジニアが、「最後に子どもの顔が浮かんだんです。子どものためにも今は死ねないな、と思いました。正直、うしろめたさはありましたが……」と、自らの葛藤を吐露する場面など、長期にわたる取材の深さを感じさせてくれる描写だった。
私は、この記事の中で、「俺は、残る。君は出なさい」「絶対、外で会いましょうね」「分かった」「約束ですよ」……当直長からの退避命令に、そんなやりとりの末に2Fへ去っていく若手プラントエンジニアの証言が印象に残った。
また、退避しながら免震棟を振り返り、「あの中にはまだ人がいる」と涙が止まらなかった人、あるいは2Fの体育館に全員が無事到着したことが報告されると、「おぉ、そうか」と吉田所長が安堵した声で答える場面などが、興味深かった。
これが、朝日新聞が「9割が所長命令に違反して逃げた」と報じる、まさにその場面である。私は、あまりの違いに言葉も出ない。

http://www.kadotaryusho.com/blog/2014/07/post_763.html
--

こうやって美談仕立てで語れば語るほど、その後に起きたこととのギャップが際立ってきます。

「そんなこと言ったって、線量が上がってきて、こんな状態で全員いたら、おかしいだろっ!」

=> そのおかしいことを数時間後に命じたんですよね。

「俺は、残る。君は出なさい」「絶対、外で会いましょうね」「分かった」「約束ですよ」……当直長からの退避命令に、そんなやりとりの末に2Fへ去っていく若手プラントエンジニアの証言が印象に残った。

=> で、わずか半日後に会ったのは外ではなく内だったと。

また、退避しながら免震棟を振り返り、「あの中にはまだ人がいる」と涙が止まらなかった人、あるいは2Fの体育館に全員が無事到着したことが報告されると、「おぉ、そうか」と吉田所長が安堵した声で答える場面などが、興味深かった。

=> その数時間後に「あの中」の人に戻った時の心境を、この人は聞かなかったんでしょうか? そして、吉田氏はその「おぉ、そうか」と答えた後に、どういう心境で「じゃあ戻って」と言ったのか、それは自分の判断なのか本社の命令なのか、この人は聞かなかったのでしょうか? だったら、そんな取材はいくらやっても無駄だし、この人の書くものにもほとんど価値は無いと断ぜざるを得ません。

====================

おそらく、現実に起きていたのはこういうことでしょう。

1 東京電力は3月14日の夜には、第一原発からの全面撤退をするつもりだった。

『14日午後8時16分ごろ、「1F(福島第1)にいる人たちみんな2F(福島第2)に避難するんですよね」』

2 第一原発の所員の間でも第二原発への退避が共通認識となっていた。

『「第1原発にいた所員は、退避するなら第2へという共通認識があった。それが吉田氏の命令違反であるはずがない」』

3 しかし、それを政府に打診したところ強硬な反対を受けた。

『15日午前5時半ごろには、菅直人首相(当時)が東電本店を訪れ、「撤退したら東電は百パーセントつぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ」と絶叫した。』

4 その前に、吉田氏は全面撤退後も居残り、自分と運命を共にする人を選んでいた。

『この事態になる直前、「一緒に死んでくれる人間の顔を思い浮かべていた」と、1Fに残ってもらう人間を“選別”する吉田所長の思いと姿を、当の吉田さん自身から詳細に聞いている。』

5 ところが、菅氏が東電幹部を叱責している約1時間の間に、2号機の圧力抑制室に穴が開いた。

『6:00~6:10頃 圧力抑制室付近で大きな衝撃音が発生。』

6 菅首相に叱責されていた東電本社は、全面撤退不可を吉田氏に連絡できなかった。

『ところが約220キロ離れた東京の本店の反応は鈍かった。制御室にある圧力計が故障したのではないかと言う。』

7 首相の反対を知らない吉田氏は第二原発への退避を命じた。

『そんなこと言ったって、線量が上がってきて、こんな状態で全員いたら、おかしいだろっ!』

8 9割の所員がバスで第二原発へ退避した。

『7:00 監視、作業に必要な要員を除き,福島第二へ一時退避することを官庁等に連絡。』

9 東電を潰したくない本社は、直ちに所員を現場に戻す事にし、それを命じたが、死地へ戻す理由がつかないので、そもそもの第二原発への退避命令を「勘違い」ということにした。

『吉田氏は「本当は2Fに行けと言っていないんですよ。福島第1の近辺で、所内にかかわらず線量の低いような所に1回退避して次の指示を待てと言ったつもりなんですが」と命令の行き違いがあったことを示唆している。』

10 所員が第二への退避命令が勘違いだったと説明されて、それなら仕方ないと戻った。

『15日昼ごろには第2に退避していた多数の人が戻った。』


どうやって、所員を第一原発に戻らせたのかを考えたら、これが一番、あり得そうな筋書きだと、私は思いますけどね。

********************

5回にわたって、産経の吉田調書報道のうさん臭さを指摘しました。

これだけ矛盾や客観的な事実との齟齬があるのに、ネットではこの産経の報道をもって朝日の捏造なんて書き散らしているおバカさんがウヨウヨいらっしゃるみたいで、本当に頭の痛いことです。

3月15日朝の所員の退避が意図的もしくは勘違いによる「命令違反」であるなら、その後、直ぐに戻されたことも合点が行きますし、ほとんどの所員は仕方ないと思えたことでしょう。
でも、退避が所長の命令によるものだとしたら、この呼び戻しは犯罪的であるとすら言える行為です。

私は、まもなく公開されるらしい調書の中で、もっとも興味を持っているのはこの部分。
退避の時のことではなく、戻った時のこと。
誰の意志で、何故、多数の所員がたった数時間で戻ったのか、そしてそれを所員はどう受け止めたのか、です。

もし、誰の調書にもそのことが全く触れられていないとしたら、その調書は何らかの意図を持って誘導されているか、予め口裏合わせがなされていたかとみなすべきでしょうね。

ただまあ、真相がいずれにあるにしろ、ここまでの情報でも、次の発言は嘘と断定して良さそうですね。

(東電会長)「直接、発電所の運転に関わらない半数の作業員は退去を考えた」

そして、東電本社に乗り込んだ菅さんの行動は正しかったということです。
彼がやらなければ、おそらくあの69人を人柱として、何もできないまま第一原発は大爆発を起こしていたのではないかと思います。

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コメント

読み応えのある記事だった。
感謝。

所員の行動の謎

もし2Fに移動した理由が逃げたということなら、
2Fに辿り着いた所員たちは何故2Fから1F に連絡をしたんだろうか?

とちぎんさんの発言の謎

とちぎんさん

> もし2Fに移動した理由が逃げたということなら、
> 2Fに辿り着いた所員たちは何故2Fから1F に連絡をしたんだろうか?

個々の所員がそんな連絡をした事実があるんですか?
また、「逃げた」所員が連絡しないと第一原発では到着を知り得ないと断定する根拠はなんですか?


逃げる人の心理

ブロク主の説なら、逃げ出した人は東電から脅しを受けて
1Fに戻っているんだから、間違いなく連絡が取れている。

2Fへ逃げた人はどうして1Fに連絡した
(あるいは1Fからの連絡を受けた)んだろうか?


さて、あなたはどう逃げる?

とちぎんさん

> ブロク主の説なら、逃げ出した人は東電から脅しを受けて
> 1Fに戻っているんだから、間違いなく連絡が取れている。

そうですね。第二原発に逃げたんだから当然でしょ。

> 2Fへ逃げた人はどうして1Fに連絡した
> (あるいは1Fからの連絡を受けた)んだろうか?

どうして逃げた人「だけ」が第一原発と連絡できると思い込むんでしょう。
頭が硬いですね(苦笑)。



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