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お手上げと言ったのに ー 共同通信「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」の虚構8

(7)火災が発生して青ざめたはずなのに

共同通信が配信した「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」に記された「事実」を炙り出すシリーズ、その8です。

退避した所員を呼び戻した吉田所長ですが、その場面において不思議な状況判断がなされています。

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(第11回)
 全面マスクを装着し、同僚と2人で業務車に乗って2、3号機西側の坂を下っていくと、右手に異様な光景が現れた。
 「お、おい、あれ・・・」
 4号機建屋の4階北側付近から真っ赤な炎が上がり、黒煙が出ていた。稲垣は青ざめた。4号機が燃えている・・・。
 稲垣たちは対策本部に取って返し「4号機で火災」と所長の吉田昌郎(56)に報告した。火元は不明だった。
 4号機の使用済み核燃料プール内には1535体もの燃料が保管されていた。もしプールの水がなくなれば、露出した燃料が大気中に放射線を放出し続ける。建屋が崩壊したため放射線を遮る天井も壁もない。そうなればもう誰も近づけない。
 「4号機で火災発生。1F(第1原発)では手が出ない。自衛隊なり米軍なりに頼んでください。われわれはお手上げです」
 午前9時39分、テレビ会議で吉田が言った。消火活動に回せる消防車も水源もない。それに建屋周辺は高線量だった。
 約1時間前には、2号機原子炉建屋東側のブローアウトパネルと呼ばれる大きな開口部から白煙が出ているのが確認されていた。
 次から次へと起きるトラブルが構内に残った者たちを追い詰めていた。
 この時、対策本部にいた東京電力自衛消防隊副隊長の新井知行(42)は身が凍る思いだった。
 「ここが墓場になるのか、と思いましたね。僕が一番、精神的にきつかったところです」

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(第12回)
 退避を命じた早朝の時点で吉田は、2号機の圧力抑制室に大穴が開いて大量の放射性物質が放出され続ける、と考えた。だが正門付近の放射線量は午前9時の毎時1万1930㍃シーベルトをピークに徐々に下がっていた。抑制室に穴が開いていれば、構内の線量も上がり続けるはずだった。
 2人の話の輪に、4号機の火災を発見して戻ってきた第1復旧班長稲垣武之(47)も加わった。
 「線量は高いですけど、現場の作業ができないほどじゃありません」
 「だけどこの線量じゃすぐに人繰りがパンクするぞ」と吉田が言った。
 残った人間だけで屋外作業を続けていれば、深刻な被ばく者が出るのは避けられない。
 「人がたくさんいないと回しきれないですね」
 免震棟に残った者たちは、一度は死を意識した。家族には二度と会えないと覚悟もした。だが今は、致命的な状況ではない、と認識を改めていた。

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このシリーズの第11回では、4号機の火災により、

『もしプールの水がなくなれば、露出した燃料が大気中に放射線を放出し続ける。建屋が崩壊したため放射線を遮る天井も壁もない。そうなればもう誰も近づけない。』

ことが心配され、

『4号機で火災発生。1F(第1原発)では手が出ない。自衛隊なり米軍なりに頼んでください。われわれはお手上げです』

『次から次へと起きるトラブルが構内に残った者たちを追い詰めていた。』

という緊迫した状況だったことをこれでもかと描写しているのに、次の第12回になるととたんに、

『2人の話の輪に、4号機の火災を発見して戻ってきた第1復旧班長稲垣武之(47)も加わった。
 「線量は高いですけど、現場の作業ができないほどじゃありません」』


『免震棟に残った者たちは、一度は死を意識した。家族には二度と会えないと覚悟もした。だが今は、致命的な状況ではない、と認識を改めていた。』

と、第11回に書かれていた「火災」の問題は全くなかったかのような話になってしまっています。

この稲垣さんという人は、4号機の火災を発見して青ざめたはずなのに、それを報告すると同時に「現場の作業ができないほどじゃありません」と言ったことになっている。
現場の作業ができる程度の事象なら、そんな青ざめたりする必要ないはずじゃありませんか。

本来、火災が起きた、大変だ、お手上げだとなれば、「致命的な状況ではない」と言えるのは、せめてその火災が鎮火してからでしょう。ところが、この時に火災が自然鎮火したのは11時過ぎのこと。それまで時計の針を進めてしまっては、所員が午前中に戻されたこととの矛盾が生じてしまう。
だから火災発生を発見して青ざめた人が、同時に現場で作業ができるなんて言い、吉田所長はそれを真に受けて常識ではあり得ない判断を下したことにして、この矛盾を隠したのでしょう。

で、実際にはこんな判断をしたとは考えがたい。彼らは共同通信の取材に対して、誠実に答えていないと言うべきです。

前エントリとこのエントリで紹介した記事の内容を突き合わせると、この『呼び戻し』は線量や現場の状況が安定しているのを見て決めたんじゃない。
吉田所長は、風向きが変わって正門付近の線量が下がっただけである可能性をおそらく認識していた。そして、火災発生で「お手上げ」と叫んだのも事実。にもかかわらず、所員を呼び戻した判断には、科学的根拠などなく、とにかく戻れという会社の命令が下され、それに吉田所長や第二原発に逃げた人々が従っただけ

そう解釈するのが妥当です。

以上で、このシリーズは一旦締めたいと思います。
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