プロフィール

白砂青松0715

Author:白砂青松0715
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

所長の保身 ー 共同通信「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」の虚構4


(3)それって自分の保身でしょ

共同通信が配信した「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」に記された「事実」を炙り出すシリーズ、その4です。

3月15日の所員の退避にあたり、吉田所長が調書の中で第二原発へ行けとは言っていないと述べていることを、共同通信は次のようなアクロバティックな解釈をしています。

--
 ところが午前6時42分に吉田が発した言葉は、不可解なものだった。

 「構内の線量の低いエリアで退避。本部で異常がないことを確認できたら戻ってきてもらう」

 第2原発を退避先とすることは吉田と総務班長の間で前日夜に決まっていた。では吉田はなぜ「構内の」と言ったのか。この時の構内はどこも線量が高く、とてもとどまれる状況ではなかった。

 しかし約40分前、東京電力が第1原発から全面撤退すると考えた首相の菅直人(64)が本店で「逃げ切れないぞ」と激高していた。部下たちが「逃げた」と非難されないよう、吉田はとどまらないことを分かっていながら「構内に退避」と指示し、第2原発に行く正当性を担保したのではないか。

 「吉田さんはそういう人です」。対策本部にいた多くの部下たちはそう口をそろえた。
--

はっきり言って、私にはこの記事に書かれていることが全くの意味不明

なんで、吉田氏が「構内に退避」と指示したことが第二原発に行くことの正当性の担保になるのでしょう。全くでしょ?

所員が第二原発へ逃げたことの正当性を担保するなら、自分が「第二原発へ退避」と指示しなければならないのは当然のこと。
そこで「構内に退避」と言うのは、『部下たちが「逃げた」と非難されないよう』ではなく『自分や東電が「全面撤退した」と非難されないよう』にする効果しかありません。

言って見れば、この指示は吉田氏が自らの保身のために言ったこと。
それが論理的に導ける結論でしょう。

それがなんで正反対の話になるのか。

結局、この記事は「記録」などではない、読者が読んでおもしろい「フィクション」だということ。
吉田所長というヒーローを設定した共同通信にとって、彼の行動は常に善でなくてはならず、その結論に導くためには論理も事実もねじまげ、また、その筋書きに沿った「証言」だけをかき集めた。

前回の「風向き」の件、今回の「正当性を担保」の件に、その共同通信の意図が良く現れています。

続きます。

風下に退避という不思議 ー 共同通信「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」の虚構3


(2)本当に風向きを確認したの?

共同通信が配信した「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」に記された「事実」を炙り出すシリーズ、その3です。

3月15日の朝、9割の所員が第二原発へ逃げた際のことを、同記事では以下のように描写しています。

--
 所長の吉田昌郎(56)は対策本部中央の円卓を回り込むと、放射線管理を担う保安委員に風向きを確認した。敷地西側の正門前で線量を計測しているモニターカーからの情報では、風は北西から吹いていた。

 吉田は退避先の福島第2原発(南12㌔)が安全か確認したかったのだ。自席に戻ると、総務班長を呼んでこう言った。

 「線量の低い場所を探して退避だ。なければ2F(第2原発)に向かえ。風向きは大丈夫だ」

 「とりあえず正門の先でどうですか」

 「それでいい」
--

この記事を読めば、普通の人なら直ぐに違和感を感じると思うんですけどね。
なんで風上に逃げないのと。

この記事では風は「北西」となっています。
でも、実際に記録に残っているのは、6:00が北の風0.8m/s、6:50では北東の風2.9m/sで、この日の1:00以降、北西の風というのは一度も記録されていません。
まあ、さすがに全くの嘘を書く訳にもいかなかったのでしょう、だいたい北方向から風が吹いていることはこの記事からでもわかります。

で、風が北から吹いているのに南のある第二原発に向かうことが、なんで「風向きは大丈夫だ」なんでしょうか?

私には、この吉田氏の判断は全く理解できません

風向きを見たなら、北方向へ逃げろと指示すべきでしょう。
しかも、風が北から吹いているのですから、南西側にある正門付近では線量が高いのは十分予想されること。

「線量の低い場所を探して退避だ。」と指示し、かつ風向きを見たなら、それに対して「とりあえず正門の先でどうですか」と聞かれて、「それじゃダメだ、北へ行け」と言わなきゃ指揮官として失格でしょう。

この部分においても、吉田氏は正直に答えていない

おそらく、吉田氏はこのような指示は全くやっておらず、逃げた人々が、風向きも関係なく、前日からの打ち合わせに則って、第二原発に向かったのです。

続きます。

テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

映像では誰も聞いていないみたい ー 共同通信「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」の虚構2

共同通信が配信した「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」には、前エントリで書いたように、当事者の自己陶酔、自己弁護を鵜呑みにして、客観的な事実を蔑ろにし、結果的に原子力ムラの思惑通りに東電を擁護する流れを作る上で大きな役割を果たしました。

ただ、実際に起きたことを書いた部分を良く読むと、隠しきれなかった事実が浮き彫りとなり、「証言」を読む上では注意が必要なことがわかります。
その具体的なポイントを、これからいくつか指摘します。

(1)福島第一の所員は菅首相の演説を聴いていたのか?

これは、既にこのブログでも問題提起をしたところで、それに対して、私を何とか噓吐きにしたい人が粘着していますけど、いまだに彼らはテレビ会議システムというものが理解できていないようです。

共同通信の記事にはこうあります。

--
菅の激しい言葉に免震重要棟の社員たちは足を止め、テレビ会議の画面に見入っていた。
--
「何言ってんだ、こいつ!」「なんだよこれ。ひでえな」。3月15日早朝、福島第1原発免震重要棟の緊急時対策本部にいた全員が、テレビ会議のモニター画面にくぎ付けになった。東京電力本店を訪れた首相の菅直人(64)が「逃げてみたって逃げ切れないぞ」と大声で怒鳴っていた。
 対策本部内の数百人が無言で画面を見つめていた。「こっちでは一生懸命闘っているのに、後ろから機関銃で撃たれた気分でした」。第1復旧班長の稲垣武之(47)はそう振り返る。

--

ところが、この菅首相が東電本店で撤退を阻止している時の映像というのが東京電力から公開されていますが、YouTubeにもアップされています。

https://www.youtube.com/watch?v=7jc18tlOnP0

この映像では、画面が6分割されており、真ん中上段に東電本店が映っています。
ところが、それ以外のサイトでは、菅さんがしゃべっているであろう15分ほどの間、普通に人々が歩き回り、席を立ったり座ったり、また会話をしているような仕草が映し出されており、とても「免震重要棟の社員たちは足を止め、テレビ会議の画面に見入っていた」とか「全員が、テレビ会議のモニター画面にくぎ付けになった」といった様子がうかがえません。

前にこのネタに触れたエントリに粘着して来た人々は、「常時接続」という言葉で常時音声もつながっていると思い込んでいるようですが、そんなテレビ会議システムなんてどこにも存在しないはず。たとえ映像は見られても、音声は意図して繋がない限り聞こえないのがデフォルト、それがテレビ会議システムです。

で、実際にこの時は、音声はつながっていなかった。
共同通信の取材に対してあたかもリアルタイムで菅さんの話を聞いたかのように答えていた人々は、皆、後からその話を聞いて、当事者であった自分たちがそれを聞いていないはずがないとでも思ったのでしょう。自分の記憶を書き換えてしまったとみて間違いありません。

ちなみに、音声が繋がっていなかったであろうと思われる記述は、この共同通信の記事からも読み取れます。例えば、

--
 「1F(第1原発)、聞こえますか?」
 本店からの呼び掛けに、所長の吉田昌郎(56)が手を挙げて応えた直後…。
--

常時聞こえていたなら、こんな呼びかけは不要。そして、

--
吉田は即決した。テレビ会議のマイクのスイッチを入れ、本店に退避を申し出た。
--

マイクのスイッチを切っているのが常態だったということです。

ということで、第一原発の所員はリアルタイムで菅さんの話を聞いていたわけではないと考えるのが妥当。共同通信の記事は不必要に菅さんを貶め、東電を英雄扱いする原子力ムラの思惑に沿った印象を与えるものとなっています。

続きます。

テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

共同通信「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発 最終章」の虚構1


吉田調書報道について、朝日を訂正に追い込んだ原子力ムラですが、この、明らかに無理筋の東電擁護のプロパガンダを、広報紙である産経や読売が書いても、色眼鏡で見る人が多かったことと思います。

そういう意味で、この一連の流れの中で、大きな役割を果たしたのは、7月に共同通信が配信した「全電源喪失の記録~証言 福島第1原発  最終章 「命」」だと思います。

門田隆将なども、自身のブログの中で、

--
私は、この2011年3月15日は、日本が有史以来、最大の存続の危機に陥った日だったと思っている。共同通信は、長期にわたった取材によって、この日の福島第一原発の内部を克明に記している。多くの場面が、拙著とも重なっているので、私は興味深く読ませてもらった。
--
共同通信のこの詳細な描写に、私は『死の淵を見た男』を取材した当時のことを思い出した。時に涙し、時には震えながら、あの自らの「生」と「死」をかけた闘いの場面を述懐するプラントエンジニアたちの姿を思い出したのだ。

http://www.kadotaryusho.com/blog/2014/07/post_763.html
--

こんな風に書いて、いかにも共同通信の記事に「中立性」があるかのように宣伝しています。
でも、本当にそうでしょうか?

この記事を書くにあたり、共同通信は多くの関係者にインタビューしているようです。
それ自体は大切な取材方法だとは思いますが、対象者の言っていることを鵜呑みにしてしまっては、真実からは遠ざかるばかり。ジャーナリストなら、取材対象者の言っていることと客観情報をきちんと突き合わせる必要があったはずなのに、共同通信にはその意識が欠けていたのではないか疑われる箇所が、特に重要なポイントで散見されます。

門田氏は

--
そして、共同通信の現場への食い込み方は、やはり活字媒体ならでは、の思いが強い。しかし、朝日新聞だけは、現場取材の痕跡がない。「ひょっとして朝日は現場に取材もしないまま、あの記事を書いたのではないか」と、どうしても疑ってしまうのである。
--

こんな風に書いていますが、逆に、共同や門田氏自身が「現場取材」をしたという自己満足だけで、記事を書いてしまったのではないかと、私は疑わざるを得ない。
客観的事実との突き合わせを怠り、大変な環境に身を置いた当事者にありがちな、己陶酔や自己弁護にひきずられて、結果として、フィクションを書いてしまったのが彼らだと考えられます。

その具体的なポイントを、明日以降のエントリに記します。

テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

なぜ、これだけ画像データ? ー 福島第一原発からの退避問題


一連の吉田調書報道に関して、産経などは、吉田氏や元所員の自己正当化した言葉を意図的にか無意識にか鵜呑みにして、第二原発への退避は命令違反ではないと言い張っています。

ところが、東電のプレスリリースのリスト(http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/2010-j.html)中に、

『03.15 福島第一原子力発電所の職員の移動について』

という文書があり、これを開くとこのように書かれているのです。

--
福島第一原子力発電所の職員の移動について
平成23年3月15日
東京電力株式会社
福島第一原子力発電所

 本日、午前6時14分頃、福島第一原子力発電所2号機の圧力抑制室付近で異音が発生するとともに、同室内の圧力が低下したことから、同室で何らかの以上が発生した可能性があると判断しました。今後とも、原子炉圧力容器への注水作業を全力で継続してまいりますが、同作業に直接関わりのない協力企業作業員および当社職員を一時的に同発電所の安全な場所などへ移動開始しました。
 現在、福島第一原子力発電所では、残りの人員において、安全の確保に向け、全力を尽くしております。

 なお、2号機の原子炉圧力容器および原子炉格納容器のパラメータに有意な変化はみられておりません。

 立地地域の皆さまをはじめ、広く社会の皆さまには大変なご心配とご迷惑をおかけしておりますことに対し、心よりお詫び申し上げます。


http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/htmldata/j110315a-j.pdf
--

ポイントは「一時的に同発電所の安全な場所などへ移動開始しました。」と書かれていること。どう考えたって、9割の所員が第二原発へ行ってしまったこととは整合性がとれない。やはり、第二原発への退避は東電の意としたものではなかった、即ち「命令違反」と呼ばざるを得ないということです。

で、このプレスリリースそのものに関して、もう一つ興味深いことがあります。
上記のプレスリリースのリストから、それぞれの項目をクリックすると、内容が書かれたpdfファイルが開くようになっているのですが、そのほとんどのファイルがテキストファイルをpdf化しているのに、なぜかこのファイルは画像ファイルをpdf化しているのです。

j110315a-j.jpg


この3月の震災後に行われたプレスリリースは約110。その内、画像ファイルなのは、私が見たところでは4本だけでした。そのうちの2本は、「当時公表したものの、ホームページへ掲載していなかったことがわかったため、本日(H24.7.18)掲載しました。」という注書きが書かれているもので、最初から画像だったのは、このネタ元と

『03.14 原子力災害対策特別措置法第15条第1項の規定に基づく特定事象(原子炉冷却機能喪失)の発生について(PDF27.2KB)』

だけでした。

「原子炉冷却機能喪失」「職員の移動」という、極めて重要なポイントとなる事象の発表だけが画像というのは不自然。

画像だと、今回のようにこれを広く紹介しようと思ったら、自分で打たなければなりませんから、やはり、この事実をできるだけ隠したい、自分たちがどのように認識していたか後から検証されたくない、という意図があってのものと思えるのですが。

逆に考えれば、この「職員の移動」「原子炉冷却機能喪失」と同程度の意味を持つ、即ち、東電によるギブアップ宣言だったと、私は考えています。

テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

| ホーム |


前のページ «  ホーム  » 次のページ